ぴよぴよ映画感想ブログ

都内の大学院生の映画感想ブログです。個人的な感想です、何かを否定するつもりはまずありません。私の備忘録代わりであることをご了承ください。

ネタバレ無し映画感想『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』

 

 

 

 

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個人的点数:100点

 

概要

2010年、カナダ・アメリカの合作。最高のホラーコメディです。奇妙な風体の二人の男が、大学生キャンプグループに殺人鬼と思われてしまい、その齟齬からどんどんと話が展開していくという作品なんです。どうですか!?もうこのあらすじだけで、見たくなりません!?というか、このポスターがもう、B級ホラーの傑作という感をモワモワッと醸し出していませんか!?こんなの見るっきゃないでしょ。

 

アンジャッシュ的すれ違いコント

 体格がよく髭面でけしておしゃれとも清潔とも言えない風貌ですが本当は口下手なだけで心優しい。見た目で偏見を持たれ損をするタイプ。そんな男が主人公の一人です。ポスターど真ん中のチェーンソー男ですね。まぁ確かに一瞥しただけでは善人とは思えませんよね。…という、この偏見がテーマです。ここから大学生が勝手に怯え、勝手に死んでいくという話です。ほんと、勝手に死んでいきます。主人公チームは何一つ悪いことはしておらず、というよりも善人なんです。悲しきフランケンシュタインの怪物ような…!!フランケンシュタインの怪物はその迫害の悲しみから実際は人を殺してまわりますが、この映画の主人公たちの善意は徹底しています。その極端な落差こそが映画を際立たせており、ずーっと楽しいわけです。ホラー映画としての尺にもピッタリ、90分。

 

『キャビン』を超えたメタ的ホラーの傑作

一世を風靡した『キャビン』というメタホラーがありますが、これも似ています。これまでのホラー映画ならこうなるという構図、つまりは『キャビン』と同じく山にキャンプに来た若者グループが災難に襲われるという図式は一緒なんです。で、その後の展開はお約束どおりではなくすこし屈折していく、というところまで一緒です。『キャビン』には歴代ホラー映画の怪物役がたくさん出てきますが、この映画ではその怪物を彷彿とさせる演出があります。ポスターにもあるチェーンソーは『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスですよね(このシーンは本当に声を出して笑いました)。他にも、例えば『サプライズ』というホラー映画を思い出させるところもあったり(似ているだけで影響を受けたかどうかはわかりません)、なんかいろいろとメタ的連想があるのです。

 

若い女性」の色気

日本では女性のセックスシンボルとしてよく「女子高生」というのが取り上げられますが、アメリカでは女性のセックスシンボルとして「女子大生」が取り上げられる印象があります。ともに「若くて美しい」という項は共通していますが、日本では女子高生に「色気」はおそらく感じることはあまりないでしょう。例えば手塚治虫の『奇子』のように性的欲情を催すものを全て「色気」と言ってしまうのであれば話は別ですが…あまりそういう単純化はしたくないですよね。そして、「色気」を備える妖艶さというのは単に年を重ねることで出るわけではなく、経験を重ねることで出るわけです。

清楚と妖艶というのはつまり、純粋と熟練という対立項としてまとめることもできるんです。日本人の男性の多くが女性に求める像は「やまとなでしこ」的清楚さであって、処女性であって。これはきっと日本の和を尊ぶ精神が反骨的な側面を嫌い、従順な女性像に理想を見い出した結果なのではないかと、私は考えています。

アメリカはきっと文化が違うのでしょう。この考え方を適用して託けるのであれば、アメリカは自由を強く求め、そこから個々の自立性を尊重し、女性にも一人で生きていけるほどの熟練性を必要とし、そこから妖艶な女性像に理想を見い出したのではないかな。と、考えたりもするわけです。

で、本作では女子大生役のカトリーナ・ボウデンがヒロインなのですが、この色気が凄い。男だらけのむさ苦しい山小屋の中の紅一点です。単に顔貌が美しいとかではなく(もちろん美しいんですけど!)、スタイルがいいというわけではなく(もちろんいいんですけど!)、それ以上に自分をしっかりと持って誰に媚びることもなく自分で考え行動し、知的な側面もあれば情熱的な部分もある。安心して手放しで見ていられるのです。あぁ、男が惹かれる色気ってこれか、と妙に納得してしまう役柄でしたね。

 

総括

まぁとにかく面白い!出会えてよかった!!劇場で見たかった!劇場で笑いたかった!!スプラッタシーンもあり、それが過度に痛みのエンパシーを促さないほどのもので、とはいえ殺風景というわけでもなく!!ホラーコメディでの過度な痛みの描写はちょっと興ざめですものね。あくまでコメディ路線を貫いて、終わりの終わりまで笑わせてくれるところ。気持ちよく全編見られるので最高ですね。傑作中の傑作、個人的には『ショーン・オブ・ザ・デッド』を超えています。